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なぜ『あんこの革新』は北海道産小豆だけを選ぶのか?一粒に宿る、生産者の物語。

小豆

こんにちは。「あんこの革新」です。

いつも私たちのブログをお読みいただき、本当にありがとうございます。

さて、前回は夏の「温活あんこ」についてお話ししましたが、今回は少し予定を変更し、私たちの原点に立ち返ってみたいと思います。

突然ですが、皆さんは「あんこの味」が、最終的に何で決まると思われますか?

甘さの要である砂糖の種類、口当たりを左右する水質、そしてもちろん、職人の長年の勘と腕…。どれも欠かすことのできない、重要な要素です。

しかし、それら全てを支える、最も根本的で、最も譲れない土台があります。

それは「小豆(あずき)そのものの品質」です。

どんなに優れた技術があっても、主役である小豆の力が弱ければ、本当に心に響くあんこは生まれません。今回は、私たちがなぜ、数ある産地の中から「北海道産」の小豆を選び、こだわり続けるのか。その一粒の豆に込められた、壮大な物語にお付き合いください。

■知っているようで知らない「小豆」の奥深い世界

小豆は、古くは縄文時代の遺跡からも発見されるほど、古くから日本人の暮らしと共にあった、特別な食べ物です。その鮮やかな赤い色には魔除けの力があると信じられ、お祝い事や季節の節目など「ハレの日」の食卓に、欠かすことのできない存在でした。

そんな小豆ですが、実は様々な品種があることをご存知でしょうか。

日本で栽培されている主な小豆だけでも、

  • エリモショウズ:風味、色つや、食感のバランスが良く、多くの和菓子職人から「小豆の王様」と称される品種。
  • きたろまん:その名の通りロマンを感じさせる美しい赤紫色が特徴。ポリフェノールを豊富に含みます。
  • しゅまり:皮が薄くて柔らかく、あんこにした時に非常に口当たりが滑らかに仕上がるため、こしあんなどに向いています。

など、それぞれに個性豊かな表情を持っています。どの品種を選ぶかによって、あんこの風味や色、舌触りは大きく変わるのです。それはまるで、ワインにおけるブドウの品種の違いのように、奥深い世界が広がっています。

■なぜ、私たちは「北海道産」にこだわり続けるのか?

日本で流通する小豆の9割以上は、北海道で生産されています。これは単に土地が広いから、というだけではありません。北海道の気候風土そのものが、最高品質の小豆を育むための「奇跡的な環境」だからです。

その最大の秘密は、「昼夜の寒暖差」にあります。

日中、小豆は夏の強い日差しをたっぷりと浴び、光合成によってせっせと糖分などの養分を作り出します。そして、夜になると気温がぐっと下がる。この涼しさのおかげで、小豆は日中に蓄えた養分を呼吸で消費することなく、豆の一粒一粒に、うま味と糖分をぎゅっと凝縮させることができるのです。

この厳しい自然環境こそが、北海道産小豆ならではの、香り高く、深いコクのある味わいを生み出す源泉となっています。

さらに、広大な土地を活かした「輪作(りんさく)」も重要なポイントです。同じ畑で毎年同じ作物を作り続けると、土壌の栄養が偏り、特定の病害虫が発生しやすくなります。しかし、北海道の多くの農家さんでは、小豆、小麦、てんさい、じゃがいもなどを数年サイクルで順番に育てる輪作体系が確立されています。これにより、土は常に健康な状態を保ち、農薬の使用を抑えながら、健やかで生命力あふれる小豆が育つのです。

■一粒に宿る、生産者の物語

私たちのあんこに使われる小豆は、単なる「北海道産小豆」という記号ではありません。そこには、何十年という歳月をかけて、豆と向き合い続ける生産者の方々の顔と、静かな情熱の物語があります。

私たちが信頼を寄せる生産者の方は、こう語ります。

「小豆作りは、まず土作りからだ。前の作物が終わった秋から、次の年の春まで、ゆっくりと土を休ませて、栄養を与える。人間と同じで、良い土じゃないと、良い子は育たないからな」

春、雪解けを待って種をまき、夏の間は、我が子を見守るように畑の様子に気を配ります。雑草を抜き、病気や虫がついていないかを確認し、天気予報とにらめっこしながら、一日一日、豆の成長を祈るように見守るのです。

そして秋、収穫の時を迎えます。刈り取られた小豆は、じっくりと自然乾燥させた後、一粒一粒、人の目と手で選別されていきます。欠けているもの、未熟なもの、虫食いの跡があるもの…。それらを根気強く取り除き、本当に美しく、完璧な豆だけを選りすぐっていく。

「あんこになった時、豆の味がちゃんとする。そんなあんこを作ってほしいんだ。だから、俺たちは一粒たりとも妥協しない」

その言葉には、自らが育んだ小豆への深い愛情と、誇りが満ち溢れていました。

■生産者の想いを、最高の「あんこ」へ

私たちは、そんな生産者の方々の想いが詰まった、宝物のような小豆を受け取る最終ランナーです。私たちの使命は、この小豆が持つ素晴らしいポテンシャルを、一滴たりともこぼすことなく、最高の形で皆様にお届けすること。

大切に育てられた小豆の風味を損なわないよう、私たちは製餡の工程でも細心の注意を払います。

豆の個性を活かすための、丁寧な洗浄と浸水。

雑味の原因となる渋みやアクを、豆のうま味は残しながら、絶妙な塩梅で取り除く「渋切り」。

そして、豆の風味を閉じ込めるための、徹底した温度管理と火加減。

こうして小豆本来の力を最大限に引き出した上で、最高のパートナーである「希少糖」と合わせることで、ようやく「あんこの革新」のあんこは完成します。それは、生産者の想いと、私たちの技術と思想が融合する、奇跡の瞬間なのです。

■物語を、味わうということ

私たちが皆様にお届けしたいのは、単なる「甘いペースト」ではありません。

北海道の広大な大地と澄んだ空気、太陽の光。そして、何よりも、豆一粒に愛情を注ぐ生産者の実直な仕事。その全ての物語が凝縮された「作品」です。

次に私たちのあんこを口にする時、ほんの少しだけ、その背景にある物語に想いを馳せていただけたなら。スプーン一杯のあんこが、いつもよりずっと愛おしく、滋味深い味わいに感じられるかもしれません。

▶生産者の想いが詰まった一品を。「あんこの革新」商品一覧はこちら

さて、次回は「あんこと日本の四季」をテーマに、季節の移ろいと共に、あんこをどう楽しんでいくか、その文化的な側面に光を当ててみたいと思います。どうぞ、お楽しみに。

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